こんにちは、窪田です。
今回は以前オートスポーツタイムスリップで駆動方式について少し触れたので簡単に説明したいと思います。
① FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
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エンジンが前にあり、前輪を駆動する方式。
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乗用車で最も一般的。
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メリット:室内スペースを広く取りやすい、軽量でコストが安い、直進安定性が高い。
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デメリット:急加速時や登坂時に前輪が空転しやすい、旋回性能はやや劣る。
② FR(フロントエンジン・リアドライブ)
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エンジンは前にあり、後輪で駆動する方式。
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スポーツカーや高級セダンに多い。
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メリット:前後重量バランスが良く、ハンドリングが自然。加速時に後輪に荷重がかかりトラクションが良い。
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デメリット:雪道や雨でスリップしやすい、車内スペースがやや狭くなる。
③ MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)
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エンジンを車体中央(前席と後輪の間)に置き、後輪を駆動。
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スーパーカーに多い。
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メリット:重量配分が理想的で旋回性能が抜群。コーナリングが速い。
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デメリット:挙動がピーキーでコントロールが難しい、室内スペースが狭い。
④ RR(リアエンジン・リアドライブ)
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エンジンを後方に置き、後輪を駆動。
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代表例:ポルシェ911。
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メリット:後輪荷重が大きく、発進・登坂で強い。コンパクトに設計できる。
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デメリット:リアが重くオーバーステアが出やすい。
⑤ 4WD / AWD(四輪駆動)
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4つの車輪すべてに駆動力を伝える方式。
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SUV・スポーツカー・ラリーカーに採用。
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メリット:雪道・悪路での安定性が高い、加速力も向上。
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デメリット:構造が複雑で重く、燃費が悪化しやすい。
補足
※厳密にはMRにはフロントエンジンとリアエンジンがあります。(前後重量配分が50:50に近いこと)AWDにもフロントエンジン、リアエンジン搭載車があります。
RRを採用した車種はポルシェ以外ですと、フォルクスワーゲン・ビートル、アルピーヌ・A110、ルノー・トィンゴ、ジネッタG15等が思い浮かびます。
簡単に説明させていただきましたが、今回は特殊な駆動方式のRRについてもう少し深堀したいと思います。
RRのメリット
駆動する後輪に大きな軸重がかかるので、発進加速時のトラクションに優れ、力強い加速が得られます。アクセルの踏み方で車体姿勢をコントロールでき、スポーティな走りが実現できます。
また、操舵と駆動が、前後輪でその役目を分担しているので高出力エンジンにも対応できます。フロントが軽いため回頭性が良く、またフロントに空間的な余裕があるので、タイヤの切れ角が大きくとれ小回りが利きます。
ブレーキング時には、フロントに荷重がかかるので、リアが重いRRでは、前後輪にバランス良くブレーキがかかります。ブレーキ性能の良さは、ポルシェの売りのひとつでもあります。
またフロントにエンジンがないのでフロントを低くでき、スタイリッシュなデザインが実現できます。
フロント軸重が小さい分、ステリング操作が軽くなります。パワーステアリングがない頃は、これが大きなメリットであり、さらに広い車室空間の確保と低コストが、かつては(50年以上も前の話ですが)、RRが小型車で採用されていた理由です。
現在では非常に珍しい存在となっているRRですが、そこには唯一無二のドライブフィーリングがあります。そのため、「自分の腕を試せるようなクルマで、速さと気持ちよさを味わいたい」という方には、RR駆動のポルシェ911を強くおすすめします。